115C62

2セットの血液培養を採取したところ、2セットとも培養陽性となった。培養ボトル内容液のGram染色標本を別に示す。

この微生物の同定および薬剤感受性試験の結果を待つ間に投与を開始しておくべき抗菌薬はどれか。

クラリスロマイシン
バンコマイシン
ペニシリンG
メロペネム
レボフロキサシン

解答: b

115C62の解説

【ポイント】
画像からはブドウの房状に集簇するGram陽性球菌が読み取れる。黄色ブドウ球菌だ。受験生の大多数がペニシリンGまたはメロペネムを選び誤答した。こういう問題に出くわすと「抗菌薬の適応を一からすべて覚えないと!」と思い立ち迷走する者が現れるのだが、到底覚えきれる量ではない。臨床の現場で都度調べればよいだけの話であり、貴重な時間の無駄遣いだ。本問の主眼はそこではなく「Gram染色で黄色ブドウ球菌がみられた場合、メチシリン感受性黄色ブドウ球菌〈MSSA〉かメチシリン耐性黄色ブドウ球菌〈MRSA〉か、の判別はできないため、MRSAに対応できる抗菌薬をまず選択せよ」という点である。

【選択肢考察】
a マクロライド系抗菌薬。経口投与するタイプであり、敗血症性ショック患者には使われない。また黄色ブドウ球菌は主な抗菌スペクトラムに入っていない。
b 正しい。MRSAが否定できない以上、バンコマイシンを選択すべきだ。
c ペニシリン感受性黄色ブドウ球菌には有効なこともあるが、MRSAには無効。MRSAが否定できない今、真っ先に採用すべき抗菌薬ではない。
d カルバペネム系抗菌薬。スペクトラムが広域であることが有名だが、MRSAには無効。
e ニューキノロン系抗菌薬。黄色ブドウ球菌は主な抗菌スペクトラムに入っていない。

正答率:28%

テーマ:【長文3/3】薬剤感受性試験の結果を待つ間に投与開始すべき抗菌薬

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