115C54

68歳の男性。膀胱全摘術後の患者である。腹部の写真を別に示す。

この患者について正しいのはどれか。

集尿袋が必要である。
巨赤芽球性貧血を起こす。
間歇的な導尿が必要である。
乳酸アシドーシスをきたす。
カテーテル交換が必要である。

解答: a

115C54の解説

【ポイント】
腹部の写真から、尿路ストーマ(人工膀胱)が導入されている様子が分かる。部位・形状からして、回腸を導管としたストーマと考えられる。

【選択肢考察】
a 正しい。排泄口部には集尿袋〈パウチ〉を取り付けて用いる。写真をよくみると、周囲に円状の跡がみられ、パウチを貼り付けていた部分と思われる。
b ビタミンB12は回腸から吸収されるため、「回腸を導管としたストーマ」という点から設定された選択肢に思われる。しかしながら、本ストーマ形成にあたっての回腸損失は15cm程度であり、これだけでビタミンB12が不足することはない。なお、写真だけから「回腸を導管としたストーマ」まで読み取らせるのは専門医レベルであり、ほぼ全ての受験生が判断できなかったと思われる。そのため、ビタミンB12欠乏からの巨赤芽球性貧血を考えることのできたものはごく稀で、本選択肢を選んだ受験生はそもそも1%未満であった。
c この部位には集尿袋を貼りつけ、尿を集める。カテーテル等を挿入して間歇的導尿をするわけではない。
d 尿が腸管に入ることから、Clが腸から血管内に取り込まれ、高Cl性代謝性アシドーシスをきたすことが稀な合併症として知られる。乳酸アシドーシスではない。
e この部位には集尿袋を貼りつけ、尿を集める。カテーテルを留置するわけではない。

正答率:85%

テーマ:膀胱ストーマについて

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