115C51

4歳の男児。鼻出血を主訴に母親に連れられて来院した。朝から鼻出血があり、夕方になっても止まらないため心配した母親に連れられて受診した。2歳ころから鼻出血を繰り返しており、いつも止血するまでに3~4時間要した。関節内出血や筋肉内出血の既往はない。父親に同様の出血傾向がある。身長104cm、体重15.4kg。体表に出血斑を認めない。血液所見:赤血球312万、Hb 10.2g/dL、Ht 31%、白血球8,900、血小板18万、出血時間延長、PT-INR 1.0(基準0.9~1.1)、APTT 48.4秒(基準対照32.2)。

最も考えられるのはどれか。

血友病A
von Willebrand病
ビタミンK欠乏症
IgA血管炎〈Schönlein-Henoch紫斑病〉
遺伝性出血性末梢血管拡張症〈Osler病〉

解答: b

115C51の解説

【プロセス】
①4歳児
②反復する鼻出血
③関節内出血や筋肉内出血の既往なし
④父親に同様の出血傾向
⑤出血時間延長
⑥PT-INR正常・APTT延長
①②④より遺伝性の出血傾向を考える。③より深部出血がないため血友病は否定的。⑤より1次止血が、⑥より2次止血が、それぞれ障害されていると分かる。⑥からは特に内因系のみの障害と考えられる。

【選択肢考察】
a 深部出血がみられず、否定的。また、血友病では1次止血機序は保たれるはずである。
b 正しい。血小板粘着能とVIII因子の異常により、1次止血と内因系に限定する2次止血の障害をみる遺伝性疾患である。
c 1次止血は保たれる。また、外因系も障害される。
d 血管壁の異常をみる病態であり、1次止血機序と2次止血機序は両方とも保たれる。
e 遺伝性疾患であり「繰り返す鼻出血」というキーワードからは候補に入れたい疾患ではあるのだが、1次止血機序と2次止血機序は両方とも保たれるはずであり否定される。

正答率:84%

テーマ:von Willebrand病の診断

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