115C50

70歳の男性。膵頭部癌のため膵頭十二指腸切除術を施行され、術後安定していた。術後3日目に呼吸困難と意識の混濁が認められた。体温37.5℃、心拍数118/分、整。血圧122/84mmHg。呼吸数30/分。SpO2 95%(マスク5L/分酸素投与下)。心音は奔馬調律で、呼吸音は両肺にwheezesを聴取する。両下腿に浮腫を認めた。血液所見:赤血球350万、Hb 8.8g/dL、Ht 28%、白血球13,100、血小板21万。血液生化学所見:AST 99U/L、ALT 31U/L、LD 659U/L(基準120〜245)、クレアチニン1.4mg/dL、血糖128mg/dL、脳性ナトリウム利尿ペプチド〈BNP〉2,920pg/mL(基準18.4以下)。CRP 2.2mg/dL。胸部エックス線写真を別に示す。

治療薬として適切なのはどれか。

ループ利尿薬
カテコラミン製剤
カルシウム拮抗薬
副腎皮質ステロイド
エンドセリン受容体拮抗薬

解答: a

115C50の解説

【プロセス】
①高齢男性
②術後の呼吸困難と意識混濁
③心音は奔馬調律
④両肺にwheezesを聴取
⑤両下腿に浮腫
⑥BNP高度上昇
⑦胸部エックス線写真にて心拡大とbutterfly shadow・胸水貯留
③〜⑥より心不全が読み取れる。②⑦と合わせ、術後合併症としての心原性肺水腫が考えやすい。

【選択肢考察】
a 正しい。術後の体液貯留が本病態の原因と考えられる。そのためループ利尿薬による除水が望ましい。
b 昇圧薬。本患者では血圧が維持されているため不要。
c 降圧薬または抗頻脈性不整脈薬。本患者では血圧に問題はない。また確かに心拍数118/分と上昇しているが、これは代償による交感神経亢進症状であり、不整脈ではない。
d アレルギー・免疫疾患の背景や、副腎不全の存在は読み取れず、副腎皮質ステロイドは無効。
e 肺動脈性肺高血圧症の治療薬。

正答率:97%

テーマ:術後心不全による肺水腫への対応

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