115C49

72歳の男性。食事指導と生活指導を受けるために来院した。10年前から高血圧性腎硬化症による慢性腎臓病で通院している。1日30分程度のウォーキングと健康体操を継続している。食欲と体調は良好で、喫煙や飲酒習慣はない。薬剤はサイアザイド系降圧利尿薬1剤が処方されている。身長170cm、体重66kg。血液検査、血液生化学検査では貧血や低蛋白血症を認めず、血中電解質と酸塩基平衡の異常も認めない。eGFR 40mL/分/1.73m2、尿蛋白0.08g/gCr(基準0.15未満)。3日間の食事記録では、摂取量がエネルギー2,100〜2,200kcal/日、蛋白質48〜52g/日、食塩5.2〜5.8g/日であった。

食事と生活に関する説明、指導として適切なのはどれか。

飲酒を勧める。
運動量を現状より減らす。
現状の食塩摂取量を維持する。
蛋白質摂取量を現状の2倍にする。
1日総エネルギー摂取量を1,200kcalにする。

解答: c

115C49の解説

【プロセス】
①高齢男性
②高血圧性腎硬化症による慢性腎臓病で通院中
③身長170cm・体重66kg(BMIは22.8と標準範囲;また標準体重は22×1.7×1.7=63.58kg)
④食事と生活に関する説明・指導
本文と選択肢を1つずつ見比べて解決するパターンの問題。

【選択肢考察】
a 飲酒習慣の無い者に飲酒を勧めることはありえない。
b 1日30分程度のウォーキングと健康体操を継続できており、望ましいことだ。これを減らすように指導するのは論外。
c 正しい。食塩5.2〜5.8g/日とのことで、高血圧患者に推奨される6g/日未満を満たしている。この量の維持が望ましい。
d eGFR 40mL/分/1.73m2から、慢性腎臓病のG3bと分かる。この時期には0.8g/kg/日程度まで蛋白質の制限が必要だ。本患者の標準体重63.58kgに0.8を乗じ、1日あたり約50gの蛋白質摂取が推奨される。現在、「蛋白質48〜52g/日」とのことで適量である。2倍にする必要はない。
e 本患者の標準体重63.58kgに25〜35kcal/kg/日を乗ずると、1,590〜2,225kcal/日となる。1,200kcalは少ない。

正答率:99%

テーマ:慢性腎臓病〈CKD〉の食事と生活に関する説明と指導

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