115B27

82歳の男性。気が遠くなることを主訴に来院した。日常の活動度は最大でも5分程度の杖歩行である。2か月前に行った健康診断で心房細動を初めて指摘されたが、症状に乏しいため医療機関を受診していなかった。昨日、家の中で一時的に意識が遠のき転倒するというエピソードが2回あった。心配になった家人に連れられて来院した。来院時の意識は清明。脈拍96/分、不整。血圧136/78mmHg。呼吸数16/分。SpO2 97%(room air)。心音と呼吸音とに異常を認めない。

この時点で行う検査として適切でないのはどれか。

血液検査
心エコー検査
Holter心電図
12誘導心電図
Master二階段負荷試験

解答: e

115B27の解説

【プロセス】
①高齢男性
②心房細動〈AF〉を指摘されている(脈拍は不整)
③一時的に意識が遠のき転倒
心原性失神の可能性が高そうだが、情報が揃っておらず何とも言えない。選択肢に挙げられている検査を追加で行っていくこととなる。

【選択肢考察】
a 心原性以外の失神事由も一応検討したい。血液検査をすることで、例えば低血糖や貧血などを確認できる。
b AFは左房に負荷がかかるような器質的変化のもと発生することが多い。よって例えば僧帽弁狭窄症〈MS〉などの存在を心エコー検査で確認できる。また、AFによって心内血栓が形成されていた場合、それをエコーでチェックすることも可能。実は大動脈弁狭窄症〈AS〉があり、これによって脳虚血を呈していた、といったストーリーも想定できる。
c 診察室ではつかむことのできない不整脈を検出できる可能性がある。
d AFと(もしあれば)その他の不整脈の様子を確認することができる。
e 誤り。労作性狭心症の診断に用いられるが、まだ何が原因となって意識消失が出現しているか不明な本患者に対して行うのは危険。逆に致死的不整脈を誘発して、死に至らしめてしまう恐れすらある。また、本検査では2段の階段を登り降りしてもらうのだが、杖歩行の患者には実施困難。

正答率:96%

テーマ:反復する意識消失発作の精査に必要な検査

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