115B26

82歳の男性。発熱、嘔吐および水様下痢を主訴に来院した。3日前から38℃前後の発熱、嘔吐および1日8回の水様下痢が持続しているという。経口水分摂取が困難であるため入院した。入院時検査で便中ノロウイルス抗原が陽性であった。診察にあたり、①アルコール手指消毒を行ったのち、②ビニールガウンを着用し、③プラスチック手袋を着用した。その後腹部の聴診と触診を行った。診察後はプラスチック手袋とビニールガウンを外し、④聴診器を白衣のポケットにしまい、⑤石けんと流水での手洗いを行った。

下線部のうち感染対策として誤っているのはどれか。

解答: d

115B26の解説

【プロセス】
①高齢男性
②便中ノロウイルス抗原が陽性
診断はすでについている。下線部を1つ1つ評価する、実質的な一般問題である。

【選択肢考察】
a 「ノロにはアルコール無効! 次亜塩素酸ナトリウムを使う!」という呪文が頭に染み付いているせいか、10%弱の者がこの選択肢を誤りと判断してしまった。次亜塩素酸ナトリウムは塩素系漂白剤の主成分としても知られ、人体には有害である。そのため主に汚物などの環境消毒に用いる。診察前の手指衛生には通常のアルコールで十分。
b 接触感染対策として有効。
c 接触感染対策として有効。
d 誤り。患者に使用済みの聴診器を消毒もせずポケットに入れると病原体を拡散させることになるため不適切。医療器具は感染者専用にするのが原則だ。
e 手洗いは通常の石けんと流水で問題ない。

正答率:91%

テーマ:ノロウイルスに対する適切な感染対策

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