115A74

85歳の女性。3週前から全身倦怠感の訴えがあった。トイレの中で倒れて肩で息をしているところを家族に発見され救急搬送された。意識は混濁。体温35.1℃。心拍数44/分。血圧80/40mmHg。呼吸数12/分。SpO2 78%(マスク5L/分酸素投与下)。顔面は浮腫状で眉毛は薄く、皮膚は乾燥している。前頸部の腫大と下腿浮腫を認めた。胸部エックス線写真を別に示す。血液検査では、TSH 160.5μU/mL(基準0.2~4.0)、FT4 0.04ng/dL(基準0.8~2.2)。

この患者で高値を認めるのはどれか。2つ選べ

CK
血糖
ナトリウム
カルシトニン
総コレステロール

解答: a,e

115A74の解説

【プロセス】
①全身倦怠感・意識混濁
②低体温
③心拍数低下
④血圧低値
⑤呼吸数低下・SpO2が酸素投与下にも関わらず低値
⑥顔面は浮腫状で眉毛は薄く皮膚は乾燥
⑦前頸部の腫大と下腿浮腫
⑧胸部エックス線写真にて心拡大と胸水
全体的に甲状腺機能低下症を示唆する情報が並んでいる。⑧は心嚢液貯留に起因する心不全であろう。

【選択肢考察】
a 正しい。甲状腺機能低下症では筋が崩壊し、CK上昇をみる。
b 代謝の低下により血糖値は低下傾向となることが多い。
c 甲状腺機能低下症では低ナトリウム血症を呈することが多い。特にAddison病を合併した例ではSchmidt症候群として有名。
d 甲状腺髄様癌ではカルシトニンが高値となるも、甲状腺機能低下症ではカルシトニンは上昇しない。
e 正しい。甲状腺機能低下症では総コレステロールが高値となる。

正答率:90%

テーマ:甲状腺機能低下症の検査所見

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