115A73

68歳の女性。救急外来での血液検査で高カルシウム血症を指摘されたことを主訴に受診した。3日前に背部痛で救急外来を受診し、尿路結石症と診断された。高血圧症で通院中であり、尿路結石発作を過去に3回経験している。意識は清明。体温36.2℃。脈拍82/分、整。血圧156/90mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。右背部に叩打痛を認める。神経診察に異常を認めない。血液生化学所見:アルブミン3.7g/dL、Ca 11.2mg/dL、P 2.4mg/dL、副甲状腺ホルモン〈PTH〉170pg/mL(基準10~60)。腹部CTを別に示す。

この患者の検査値として適切なのはどれか。2つ選べ

大腿骨頸部骨密度低値
尿中P再吸収(%TRP)低値
尿中Ca排泄量減少
血中補正Ca濃度12.5mg/dL
血中1,25(OH)ビタミンD低下

解答: a,b

115A73の解説

【プロセス】
①反復する尿路結石症の既往
②高Ca・低P血症
③PTH高値
④腹部CTにて左の腎結石あり
②③より原発性副甲状腺機能亢進症と考えられる。高Ca血症により尿路結石症を呈したのであろう、①④も納得だ。

【選択肢考察】
a 正しい。PTH作用により骨吸収が促進され、骨密度が低下する。
b 正しい。PTH作用により、尿細管からのP再吸収が抑制される。
c 本選択肢を選んで失点した受験生が多かった。「PTH作用により尿細管からのCa再吸収が増加し、尿中Caは低下する」と考えてしまうとアウト。そもそも尿中Caが低下しているのであれば、尿路結石は起こるまい。尿細管からのCa再吸収は確かに増加しているのだが、それ以上に尿中へCaが排泄されるため、本病態では尿中Caが増加している。
d Payneの式を用いて単に計算するだけだ。11.2+4-3.7=11.5mg/dLとなる。
e PTH作用により腎でのビタミンD活性化は促進される。ゆえに血中の活性型ビタミンDは増加する。

正答率:47%

テーマ:原発性副甲状腺機能亢進症の検査値

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