115A72

28歳の女性。左ふくらはぎの腫脹と疼痛を主訴に来院した。3日前から症状があったが痛みが増強してきたことに加え、労作時息切れも出現したため受診した。自然流産を3回繰り返している。家族歴に特記すべきことはない。体温36.8℃。脈拍86/分、整。血圧120/78mmHg。呼吸数30/分。SpO2 91%(room air)。心音はII音が亢進している。呼吸音に異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。左下肢は腫脹と発赤がみられ、足関節の背屈によりふくらはぎに強い痛みが生じる。血液所見:赤血球428万、Hb 13.8g/dL、Ht 39%、白血球4,300、血小板8.0万、PT-INR 0.9(基準0.9~1.1)、APTT 58.2秒(基準対照32.2)、Dダイマー8.4μg/mL(基準1.0以下)。血液生化学所見:尿素窒素14mg/dL、クレアチニン0.6mg/dL、尿酸3.6mg/dL。

行うべき検査はどれか。2つ選べ

血液培養
骨髄検査
頭部MRI
胸部造影CT
下肢静脈超音波検査

解答: d,e

115A72の解説

【プロセス】
①若年女性
②左ふくらはぎの腫脹と疼痛
③労作時息切れ
④自然流産を3回繰り返している
⑤呼吸数が多くSpO2低値
⑥心音はII音が亢進(肺高血圧によるIIp亢進であろう)
⑦足関節の背屈によりふくらはぎに強い痛み(Homans徴候)
⑧血小板低下
⑨PT正常APTT延長
⑩Dダイマー高値
⑩から血栓症があることを読み取る。②⑦は下肢の深部静脈血栓〈DVT〉を考えさせる。血栓が肺へ飛んで肺塞栓症を呈したため③⑤⑥がみられているのであろう。①④⑧⑨より抗リン脂質抗体症候群〈APS〉が背景にあると考えられる。

【選択肢考察】
a 感染症を疑った場合に行う。
b 血液疾患を疑った場合に行う。
c 脳梗塞を疑った場合に行う。
d 正しい。肺血栓塞栓症の同定に有用。
e 正しい。DVTの同定に有用。

正答率:98%

テーマ:深部静脈血栓〈DVT〉に起因する肺塞栓症の検査

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