115A66

64歳の男性。立ちくらみを主訴に来院した。糖尿病に対し15年前からインスリン治療を受けていたがHbA1cは8~9%程度(基準4.6~6.2)を推移していた。この1~2か月起立時に立ちくらみを自覚するようになったため受診した。5年前に糖尿病網膜症に対し汎網膜光凝固治療を受けている。意識は清明。身長168cm、体重59kg。脈拍82/分、整。血圧138/74mmHg。尿所見:蛋白2+、糖3+、ケトン体(−)。

この患者で認める可能性の高い身体所見はどれか。2つ選べ

便通異常
両側大腿筋の萎縮
右側上肢のしびれ感
両側膝蓋腱反射亢進
両側アキレス腱反射の消失

解答: a,e

115A66の解説

【プロセス】
①起立時の立ちくらみ
②糖尿病と診断済だがHbA1cの値は好ましくない
③5年前に糖尿病網膜症に対し汎網膜光凝固治療
④尿蛋白2+・尿糖3+
②③④からはコントロール不良の糖尿病と考えられ、①は糖尿病性の自律神経障害が原因と考えられる。

【選択肢考察】
a 正しい。消化管運動は自律神経が担っているため、便通異常もきたす可能性が高い。
b 糖尿病による神経障害は末梢神経障害であるため、遠位筋が障害されやすい。そのため、近位筋である大腿筋は障害されにくい。
※調べると「糖尿病性筋萎縮症」と呼ばれる病態がヒットし、これによれば大腿筋萎縮もみられる。が、頻度的にまれな病態であり、出題者の意図ではないと思われる。
c 本選択肢を選んだ受験生が多かった。たしかに神経障害によって「しびれ感」がみられることがある。しかし糖尿病性ニューロパチーでは一般に両側性となることが多い。病初期には単ニューロパチーの形をとることもあるが、今設問文は「可能性の高い」となっているわけで、そうしたレアケースを優先して選択するべきではない。
d 末梢神経障害では一般に腱反射が減弱〜消失する。
e 正しい。末梢神経障害により、アキレス腱反射は減弱〜消失する。

正答率:50%

テーマ:糖尿病性神経障害で認める可能性の高い身体所見

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