115A64

17歳の男子。冠動脈バイパス術後の定期診察で来院した。3歳時に川崎病と診断され入院加療となった。冠動脈瘤が認められたため、退院後、冠動脈病変についてもフォローアップが行われた。8歳時に施行された冠動脈造影では、左右冠動脈に病変が認められた。その際の左冠動脈の造影像(A)を別に示す。その後、左右の冠動脈に1本ずつバイパス血管吻合術が行われた。今回、バイパス血管の開存の確認のため心電図同期の胸部造影CT(B;3D再構築像、矢印は冠動脈へのバイパス血管)を行った。

正しいのはどれか。

バイパス血管に多数の石灰化が認められる。
左冠動脈の瘤病変(▲)は左回旋枝に存在している。
冠動脈へのバイパス血管は2本とも開存している。
バイパス血管には2本とも大伏在静脈が用いられている。
バイパス血管は瘤病変より近位部の冠動脈に吻合されている。

解答: c

115A64の解説

【プロセス】
①3歳時に川崎病と診断
②8歳時(?;文章からは断言できず)に左右の冠動脈に1本ずつバイパス血管吻合術
③8歳時の左冠動脈造影像では左前下行枝起始部に冠動脈瘤あり
④今回(17歳)の胸部造影CTでは両側内胸動脈(矢印が付されている)の開存が確認できる
④より特に今回の定期診察も問題なさそうである。

【選択肢考察】
a バイパス血管(矢印)周囲にたくさん存在する白いツブツブは内頸動脈採取時に使用したクリップであり、石灰化ではない。
b 左前下行枝に存在している。
c 正しい。2本とも開存している。
d 2本とも内胸動脈が用いられている。
e バイパス血管は瘤病変より遠位部の冠動脈に吻合されている。これは画像を見るまでもなく、「迂回ルートから血液を通す」というバイパス血管の特性上、当たり前のことである。

正答率:81%

テーマ:冠動脈バイパス血管吻合術後の評価

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