115A52

8か月の女児。3時間前に紙巻たばこの先端を2cm食べたことを主訴に両親に連れられて来院した。症状はなく、顔色は良好で機嫌はよい。身長70.1cm、体重8,000g。体温36.8℃。脈拍120/分、整。呼吸数30/分。SpO2 98%(room air)。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟。

対応として適切なのはどれか。

胃洗浄
経過観察
下剤投与
活性炭投与
生理食塩水の点滴

解答: b

115A52の解説

【プロセス】
①8か月児
②3時間前に紙巻たばこの先端を2cm食べた
③症状ない・顔色は良好で機嫌はよい・バイタル正常
小児のタバコ誤食による致死量は1本程度とされる。今回は2cmとそこまで多くなく、また③と合わせるに急ぎ対応が必要な状況とは考えにくい。

【選択肢考察】
a 胃洗浄は誤食後、1時間以内に適応となることが多い。本症例ではすでに3時間が経過しており効果は期待できない。
b 正しい。経過観察とし、万が一今後何か症状が出るようなら再度来院するよう指示する。
c 誤食されたニコチンは水に溶け、すみやかに血中へ取り込まれ、肝で代謝されて尿中へ排泄される。それゆえ下剤によりタバコの葉自体を便中に捨てても効果が低い。
d 活性炭は、多くの物質と結合する吸着剤であるが、すでに3時間が経過しており効果は期待できない。胃洗浄と同じく、1時間以内に適応となることが多い。
e 嘔吐を繰り返す、など中毒症状による脱水が見込まれれば有効だが、現時点では必要ない。

正答率:84%

テーマ:たばこを誤飲した乳児への対応

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