115A51

76歳の女性。血圧上昇を主訴に来院した。血圧自己測定を行っていたが、最近、血圧が徐々に上昇してきており、生活習慣に気を付けても改善しないため受診した。意識は清明。身長163cm、体重51kg。体温35.9℃。脈拍86/分、整。血圧162/98mmHg。呼吸数20/分。SpO2 95%(room air)。尿所見:蛋白1+、糖(−)、潜血(−)、血液所見:赤血球343万、Hb 11.0g/dL、Ht 33%、白血球3,700、血小板17万。血液生化学所見:尿素窒素20mg/dL、クレアチニン1.0mg/dL。
内科外来における研修医と指導医の会話を示す。
指導医:「高齢の高血圧症の患者さんなので、若年や中年の患者さんと比べて注意すべき点もあると思います。塩分制限についてはどうですか」
研修医:「①高齢者にも減塩は有効ですが低栄養には注意が必要です
指導医:「静脈還流量が低下した時の血圧維持が弱い可能性もありますね」
研修医:「②起立性低血圧をきたしやすい理由の一つです
指導医:「生活上の注意点はありますか」
研修医:「③食後の低血圧に注意します
指導医:「降圧薬の選択はどうですか」
研修医:「④サイアザイド系の利尿薬は第一選択にできません
指導医:「アンジオテンシン変換酵素〈ACE〉阻害薬とアンジオテンシンII受容体拮抗薬の併用はどうですか」
研修医:「⑤推奨されません

下線部のうち誤っているのはどれか。

解答: d

115A51の解説

【プロセス】
①高齢女性
②血圧上昇を主訴に来院
下線の正誤を判断する、実質的な一般問題だ。

【選択肢考察】
a 本患者のBMIは19.2と基準値内でも低い値を呈している。血圧を下げるべく食事制限をした結果、カロリー不足にならないよう気をつけたい。
b 高齢者では血圧の調節機能が低下し、起立性低血圧を呈しやすい。
c 食後には食べたものを消化すべく、消化管へ集中して血液が分配される。そのため低血圧をきたしやすい。
d 誤り。サイアザイド系の利尿薬を第一選択として用いることもある。
e ACE阻害薬とアンジオテンシンII受容体拮抗薬〈ARB〉を併用すると、過度な降圧や高K血症、腎機能低下などのリスクが増えることが知られる。そのため、併用は推奨されない。

正答率:37%

テーマ:高齢者の高血圧について

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