115A41

52歳の女性。労作時の息切れを主訴に来院した。半年前から息切れを自覚し、徐々に増悪したため受診した。既往歴と家族歴に特記すべきことはない。喫煙歴はない。意識は清明。体温36.2℃。脈拍76/分、整。血圧140/76mmHg。呼吸数16/分。SpO2 95%(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。心雑音を認めない。II音肺動脈成分の亢進を認める。呼吸音に異常を認めない。肝・脾を触知しない。下腿に浮腫を認めない。血液所見:Hb 12.6g/dL、白血球6,400、血小板36万。心電図で右室肥大所見を認める。胸部エックス線写真で肺野に異常を認めないが、肺動脈主幹部の拡張による左第2弓の突出を認める。胸部造影CTでは肺血栓塞栓を認めない。心エコー検査では推定肺動脈収縮期圧は50mmHgであった。

治療方針を決定するために必要な検査はどれか。

胸部MRI
FDG-PET
喀痰細胞診
冠動脈造影
右心カテーテル検査

解答: e

115A41の解説

【プロセス】
①中年女性
②半年前からの労作時息切れ
③II音肺動脈成分の亢進
④心電図で右室肥大所見
⑤胸部エックス線で肺動脈主幹部拡張による左第2弓の突出
⑥胸部造影CTにて肺血栓塞栓を認めない
⑦推定肺動脈収縮期圧50mmHg(参考:基準は20mmHg程度)
③⑤⑦からは肺高血圧症が想定される。これにより②のような症状や④のような右心負荷が生じているのであろう。原因は定かでない(少なくとも⑥より肺血栓塞栓由来は否定できる)が、①からは特発性肺動脈性肺高血圧症〈IPAH〉が候補に挙がる。

【選択肢考察】
a すでに胸部造影CTは実施されており、胸部MRIでさらに観察したい構造物はない。
b 悪性腫瘍の転移評価に有用。
c 肺の悪性腫瘍を疑った際に実施する。
d 虚血性心疾患を疑った際に実施する。
e 正しい。肺動脈圧など多くの指標を評価可能であり、肺高血圧症の診断や治療方針決定に有用となる。

正答率:97%

テーマ:特発性肺動脈性肺高血圧症〈IPAH〉の検査

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