115A34

74歳の男性。左前腕の痛みとしびれを主訴に来院した。夕食中に突然、左前腕の痛みとしびれ感が出現して持続するために救急外来を受診した。健康診断で心房細動を指摘されたが、医療機関を受診していなかった。来院時の意識は清明。脈拍104/分、不整。心尖部領域にLevine 2/6の拡張期雑音を聴取する。右上肢で測定した血圧は130/86mmHg。左上肢は前腕から手指にかけて蒼白であり、橈骨動脈の拍動は微弱であった。血液所見:赤血球442万、Hb 13.9g/dL、Ht 41%、白血球4,400、血小板26万、フィブリノゲン419mg/dL(基準200~400)、FDP 8.0μg/mL(基準5以下)、Dダイマー3.7μg/mL(基準1以下)。血液生化学所見:AST 21U/L、ALT 18U/L、LD 250U/L(基準120~245)、CK 122U/L(基準30~140)、尿素窒素19mg/dL、クレアチニン1.2mg/dL、脳性ナトリウム利尿ペプチド〈BNP〉134pg/mL(基準18.4以下)。CRP 0.4mg/dL。

最も考えられるのはどれか。

脳梗塞
急性動脈閉塞
手根管症候群
胸郭出口症候群
頸椎椎間板ヘルニア

解答: b

115A34の解説

【プロセス】
①高齢男性
②突然の左前腕の痛みとしびれ
③心房細動〈AF〉を指摘されていた
④脈拍は不整
⑤心尖部領域に拡張期雑音
⑥左上肢は前腕から手指にかけて蒼白
⑦橈骨動脈の拍動は微弱
⑧フィブリノゲン・FDP・Dダイマー高値
⑤からは僧帽弁狭窄症〈MS〉がありそう。MSを背景に③④のAFが出現していたと思われる。AFでは血栓が形成されやすい(⑧は血栓が形成されていることを示唆する)。形成された血栓が左上肢に飛び、急性動脈閉塞を呈した可能性が高い。②⑥⑦も急性動脈閉塞に合致する所見である。

【選択肢考察】
a 麻痺は出現するも、上肢の血流障害はみられない。
b 正しい。上記の通り。
c 手首より末梢側の障害がみられるのみであり、前腕の症状が合致しない。
d 腕を挙上したときに症状がみられやすい。また、上腕の症状もみられる。
e 上肢のしびれや痛みはみられるも、血流障害はみられない。

正答率:98%

テーマ:急性動脈閉塞の診断

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