115A32

26歳の女性。動悸と全身倦怠感を主訴に来院した。約1か月前から、少しの体動で脈が速く打つ感じを自覚していた。また、ここ数か月で体重が5kg減少していた。職場の配置換えによるストレスの影響かと考え、医療機関を受診していなかった。3日前から胸部違和感と全身倦怠感も伴うようになったため心配になって受診した。既往歴、家族歴に特記すべきことはない。意識は清明。身長158cm、体重48kg。体温36.8℃。脈拍98/分、不整。血圧138/88mmHg。呼吸数18/分。SpO2 98%(room air)。眼瞼結膜に貧血を認めない。心音では、I音の強さが変化する。呼吸音に異常を認めない。神経診察で、両手に振戦を認める。徒手筋力テストに異常を認めない。心電図を別に示す。

診断に最も有用なのはどれか。

血糖値
白血球数
血清K濃度
甲状腺機能検査値
脳性ナトリウム利尿ペプチド〈BNP〉

解答: d

115A32の解説

【プロセス】
①若年女性
②動悸(脈が速く打つ)と全身倦怠感
③ここ数か月で体重が5kg減少
④脈拍は不整
⑤心音ではI音の強さが変化
⑥両手に振戦
⑦心電図では基線のf波・RR間隔が不整・明らかなP波が指摘できない
②③⑥からは甲状腺機能亢進症を考える。④⑤⑦は心房細動〈AF〉で説明がつく。Basedow病に合併したAFであろう。

【選択肢考察】
a 低血糖や高血糖を疑った際に実施する。
b 感染症や血液疾患を検討する際に白血球を測定することが多いが、本症例では必要性に乏しい。
c Basedow病では低カリウム血症による周期性四肢麻痺を合併しやすい。しかしながら、本症例では心電図でU波など血中カリウム異常を疑わせる所見がみられておらず、異常は予想されない。
d 正しい。甲状腺機能亢進症が考えやすいため、甲状腺機能検査を行いたい。
e 心不全を疑った際に実施する。

正答率:98%

テーマ:甲状腺機能亢進症を背景とした心房細動〈AF〉の検査

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