115A26

22歳の男性。むくみを主訴に来院した。2週前、急に顔面と下腿のむくみ及び排尿後の尿の細かい泡立ちに気付いた。むくみは次第に増悪し、この間に体重は約20kg増加した。5日前から食欲がなく食事量は半減し、下痢気味で、全身倦怠感が悪化している。一昨日から排尿回数が減少し、昨日は色が濃く泡立ちの強い尿が2回、いずれも少量出たのみで、本日は起床後10時間でまだ排尿がない。意識は清明。身長176cm、体重92kg。血圧110/70mmHg。脈拍88/分、整。呼吸数16/分。顕著な両側眼瞼浮腫があり、四肢に左右差のない圧痕性浮腫を認める。

今後1週間以内に合併する可能性の高い病態はどれか。

肺水腫
気道閉塞
出血傾向
急性腎障害
高血糖緊急症

解答: d

115A26の解説

【プロセス】
①顔面と下腿の急なむくみ(体重+約20kg)
②排尿後の尿の細かい泡立ち
③食欲低下で下痢気味で全身倦怠感の悪化
④一昨日から排尿回数が減少し本日は排尿がない
⑤顕著な両側眼瞼浮腫と四肢の左右差のない圧痕性浮腫
②は尿中に蛋白が多く出ていることを示唆する。①③⑤からはネフローゼ症候群が考えやすい。ネフローゼ症候群では腎前性腎不全がみられるため、④も合致する。

【選択肢考察】
a △。低蛋白血症により血管外へ水分が漏出し、肺水腫を呈する可能性は十分にある。本稿執筆者は迷うこと無く本選択肢を選んだが、厚労省の解答としては誤りであった。悪問であることに間違いはないが、ギャーギャーわめいて救済措置がとられるわけでもない。交通事故に遭ったようなものと諦め、さっさと次の問題へ進もう。本問で失点したところで、他の問題でカバーすれば合否には何の影響もない。
b アナフィラキシーによる高度気道浮腫でみられるも、ネフローゼ症候群による全身浮腫ではきたしにくい。
c ネフローゼ症候群では血栓傾向をきたす。出血傾向とは逆のベクトルだ。
d 正しい。厚労省の発表した正答がこちら。提示された症例文の時点ですでに急性腎障害をきたしていると考えられ、「今後1週間以内に合併する」という設問文からは少なくとも本稿執筆者は正答肢として選択できなかった。
e 糖尿病性ケトアシドーシス〈DKA〉や高浸透圧高血糖症候群〈HHS〉を含む総称。ネフローゼ症候群とは直接の関係がない。

正答率:79%

テーマ:重症ネフローゼ症候群の合併症

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