115A20

1か月の男児。妊娠32週の胎児超音波検査で左腎盂拡大を指摘され、産科医からの紹介で母親に連れられて受診した。在胎38週、出生体重2,800gであった。腹部は平坦、軟で、肝・脾や腫瘤を触知しない。尿所見:淡黄色で混濁なし、蛋白(−)、潜血(−)、白血球(−)、亜硝酸(−)。両腎と膀胱の超音波像を別に示す。腹部・骨盤腔内に占拠性病変は認めなかった。以下に外来での医師と母との会話を示す。
医師:「左の腎臓でつくられた尿が膀胱までスムーズに流れていないのかもしれませんね。おしっこはよくでていますか」
母:「勢いよくでています。1日8回くらい、おむつを替えています」
医師:「母乳はよく飲みますか」
母:「2〜3時間ごとによく飲みます。飲んだあとは、スヤスヤとよく寝てくれます」
医師:「38℃以上の熱が出たことがありますか」
母:「ありません」
医師:「腎盂拡大については3か月後に(ア)をしましょう」

(ア)にあてはまる検査はどれか。

腹部造影CT
MR urography
腹部超音波検査
利尿レノグラム
排尿時膀胱尿道造影

解答: c

115A20の解説

【プロセス】
①1歳児
②妊娠中から腎盂拡大を指摘
③超音波像では左腎盂腎杯の拡張を認めるも、膀胱の異常や膀胱と接合している尿管の異常は認めない
①〜③より先天性水腎症と考えられる。③の記載からは膀胱尿管逆流など腎以外に起因する病態は否定的。発熱や膿尿、占拠性病変の存在などはない以上、現時点で積極的な対応は不要に思える。

【選択肢考察】
a より詳細な観察が可能になるとはいえ、被曝すること、鎮静が必要となること、などを鑑みるに今すぐ必要とされる検査とは考えにくい。
b より詳細な観察が可能になるとはいえ、鎮静が必要となることを鑑みるに今すぐ必要とされる検査とは考えにくい。
c 正しい。経過観察とし、定期的な超音波検査を行うのが標準的な対応である。
d 腎機能の評価が可能であるが、現状そこまで積極的な検査を行う必要性は乏しい。
e 膀胱尿管逆流を疑った際に実施すべき検査である。

正答率:74%

テーマ:先天性水腎症の検査

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