114F43

33歳の女性。高熱と多関節痛を主訴に来院した。4週前から両膝関節痛、3週前から発熱と咽頭痛が出現した。自宅近くの診療所を受診し経口抗菌薬を処方されたが改善しなかった。週に3日は39℃を超える発熱があり、発熱時には四肢内側や体幹皮膚に淡い約5mmの小紅斑が出現したという。身長154cm、体重50kg。体温39.6℃。脈拍100/分、整。血圧104/64mmHg。咽頭に発赤を認める。両側の頸部に約1cmのリンパ節を複数触知する。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。両手関節に腫脹と圧痛を認める。赤沈140mm/1時間。血液所見:赤血球268万、Hb 8.6g/dL、Ht 24%、白血球3,200(桿状核好中球36%、分葉核好中球51%、好酸球1%、好塩基球0%、単球4%、リンパ球8%)、血小板5.7万。血液生化学所見:総蛋白7.8g/dL、アルブミン2.6g/dL、AST 70U/L、ALT 102U/L、LD 460U/L(基準120〜245)、CK 50U/L(基準30〜140)、尿素窒素17mg/dL、クレアチニン0.5mg/dL、フェリチン5,800ng/mL(基準20〜120)。免疫血清学所見:CRP 10mg/dL、可溶性IL-2受容体1.240U/mL(基準157〜474)、抗CCP抗体陰性、抗核抗体陰性。骨髄血塗抹May-Giemsa染色標本を別に示す。

この患者の現在の病態に最も関与している免疫細胞はどれか。

B細胞
好酸球
形質細胞
制御性T細胞
マクロファージ

解答: e

114F43の解説

壮年期女性の高熱と多関節痛。抗菌薬は無効であり、全身に淡い小紅斑(サーモンピンク疹と考えられる)がみられている。リンパ節触知やフェリチンの高度上昇と合わせ、成人Still病が疑われる。が、成人Still病では白血球増加をみるのが一般的だ。本症例では汎血球減少を認めており、疑問を感じる。解決への道標は画像にある。マクロファージによる各種血球の貪食像がみられており、血球貪食症候群〈HPS〉を呈しているのだ。成人Still病とHPSは合併しやすことが知られており、フェリチンと可溶性IL-2受容体とはいずれの疾患でも高値を呈する。設問としては最も関与している免疫細胞が問われているため、HPSで活性化し、血球を貪食する主体であるマクロファージを選ぼう。

正答率:88%

テーマ:成人Still病を背景とした血球貪食症候群〈HPS〉の病態形成に関与する免疫細胞

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