114F39

40歳の男性。両下腿の皮膚のただれを主訴に来院した。職場で作業中に有機溶剤の入ったドラム缶が転倒し、下半身の広い範囲にクレゾールがかかった。そのまま作業を続けたが、着替え時に下肢の皮膚が赤くただれているのに気付いて受診した。診察時、事故から4時間が経過していた。両側下腿が全体に発赤、右下腿外側に面積約20cm2ほどのびらんがみられる。

患部のドレッシングを行った後、次に行うべき対応として正しいのはどれか。

これ以上の処置は不要である。
翌日皮膚科を受診することを患者に勧める。
疼痛時に服用するようNSAIDを処方し帰宅させる。
臓器障害の全身管理が可能な医療施設に緊急に転院させる。
抗菌薬を処方して、悪化すれば再度受診するように伝える。

解答: d

114F39の解説

クレゾールはメチルフェノールとも呼ばれ、トルエンと類似の構造をもつ有機溶剤である。腐食性のある溶液なため、皮膚に触れた場合は重大なダメージを与えかねない。
a 深部まで障害が及んでいる可能性があり、こうは言い切れない。
b 翌日の対応では化学熱傷が進行し、損傷が拡大しかねない。
c 痛みに対する対症療法にすぎず、創傷への対応となっていない。
d 正しい。早急な転院が望ましい。
e 細菌感染ではないため、抗菌薬は不要。また「悪化すれば再度受診」のような指示では対応が後手に回ってしまう。

正答率:70%

テーマ:有機溶剤(クレゾール)中毒への対応

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