114F37

75歳の女性。健康診断で心房細動を指摘され来院した。3か月前に受けた健康診断で心拍数96/分の心房細動を指摘され受診した。動悸やふらつきなどの自覚症状はない。既往歴として4年前に高血圧症の指摘があり、現在、食事療法を行っている。家族歴に特記すべきことはない。意識は清明。身長165cm、体重59kg。体温36.2℃。脈拍92/分、不整。血圧132/88mmHg。呼吸数18/分。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。神経診察にて異常を認めない。心電図では心拍数102/分の心房細動を認めた。心エコー検査では左室駆出率は55%であった。

まず行う対応として正しいのはどれか。

抗凝固薬の投与
t-PAの点滴静注
ペースメーカー留置
カルディオバージョン
カテーテルアブレーション

解答: a

114F37の解説

心房細動を指摘され来院した無症状の75歳女性。左室駆出率は正常下限であるが保たれている。
a 正しい。血栓形成からの塞栓症予防のため、抗凝固療法導入が検討される。抗凝固薬の適応を判断するにはCHADS2 scoreが用いられる。本症例は高血圧症〈H〉、年齢〈A〉の2項目が合致し抗凝固薬の適応となる。
b 脳梗塞急性期などの血栓症に対して検討する薬剤である。現時点で血栓症は発症しておらず不要である。
c 徐脈性不整脈に対して有効。
d 心房細動に対して、リズム/レートコントロールを目的に行われることがある。しかし今回のように発症時期不明の場合、心内にすでに血栓が形成されている可能性があるため、カルディオバージョンによって飛ばしてしまう(医原性に塞栓症を作ってしまう)リスクがある。ゆえに抗凝固薬未導入の場合、原則としてカルディオバージョンは施行しない。
e 心房細動の根本治療として有効。いずれ検討してもよいが、まずは塞栓症を予防するため抗凝固薬を導入すべきだ。

正答率:98%

テーマ:心房細動〈AF〉への対応

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