114E43

次の文を読み、以下の問いに答えよ。

49歳の男性。動悸と息苦しさを主訴に来院した。

現病歴:今朝、朝食時に強い動悸を自覚し、息苦しさを伴っていた。自分で脈を触れたところ脈のリズムは不整で、脈拍数は112〜124/分であったという。動悸や息苦しさは2時間程度持続したが症状は徐々に改善し、来院時には消失していた。

既往歴:高尿酸血症を指摘され食事療法を行っている。

生活歴:喫煙歴は40本/日を24年間。飲酒歴はビール3L/日を29年間。

家族歴:心疾患の家族歴はない。

現 症:意識は清明。身長167cm、体重79kg。体温36.2℃。脈拍80/分、整。血圧152/94mmHg。呼吸数18/分。SpO2 97%(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。

検査所見:血液所見:赤血球463万、Hb 14.5g/dL、白血球7,600、血小板20万。血液生化学所見:AST 35U/L、ALT 38U/L、γ-GT 47U/L(基準8〜50)、尿素窒素18mg/dL、クレアチニン1.1mg/dL、尿酸8.1mg/dL、Na 138mEq/L、K 4.9mEq/L、Cl 101mEq/L。胸部エックス線写真で心胸郭比57%。心電図は、心拍数76/分の洞調律で、有意なST-T変化を認めない。心エコー検査で左室の拡張末期径は58mmと拡大し、駆出率は45%と低下している。

動悸の原因の鑑別に最も有用な情報はどれか。

家族歴
喫煙歴
高尿酸血症
動悸時の脈のリズム
来院時の心電図所見

解答: d

114E43の解説

動悸と息苦しさを主訴に来院した49歳男性。脈のリズムは不整であることから心房細動を疑う。胸部エックス線にて心拡大と、心エコーにて左室拡張末期径の拡大と左室駆出率の低下を認めることから拡張型心筋症様の病態を呈していると考える。アルコールを多飲しているという病歴を合わせ、アルコール性心筋症を疑う。
a 遺伝性の不整脈疾患は複数あるため、鑑別に最も有用とは言えない。
b 喫煙歴は不整脈のリスクとはなりえるが、鑑別に有用とは言えない。
c 尿酸値は心房細動など不整脈との関連が示唆されているが、鑑別に有用とは言えない。
d 正しい。脈が不整であり心房細動を考える。
e 来院時はすでに症状が消失しており異常を認めない可能性が高い。

正答率:91%

テーマ:【長文1/2】動悸の原因の鑑別に最も有用な情報

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