114D53

64歳の男性。右下肢のしびれと体重減少を主訴に来院した。1か月前から右下肢のしびれと食欲低下が続き、体重が3kg減少したため受診した。半年前の健康診断で初めて高血糖を指摘されたが、腎障害は指摘されていなかった。身長170cm、体重58kg。体温37.0℃。脈拍92/分、整。血圧148/86mmHg。呼吸数16/分。心音と呼吸音とに異常を認めない。下腿に浮腫と紫斑とを認めない。尿所見:蛋白3+、糖(−)、潜血2+、沈流は赤血球30〜49/HPF、顆粒円柱1〜4/HPF。血液所見:赤血球311万、Hb 9.5g/dL、Ht 29%、白血球9,500(分葉核好中球63%、好酸球4%、好塩基球1%、単球7%、リンパ球25%)、血小板24万。血液生化学所見:総蛋白6.8g/dL、アルブミン3.0g/dL、尿素窒素69mg/dL、クレアチニン4.3mg/dL、血糖122mg/dL、HbA1c 6.3%(基準4.6〜6.2)、総コレステロール266mg/dL、トリグリセリド160mg/dL、Na 140mEq/L、K 6.0mEq/L、Cl 110mEq/L、Ca 8.6mg/dL、P 5.0mg/dL。免疫血清学所見:CRP 3.5mg/dL、CH50 54U/mL(基準30〜40)。腎生検のPAS染色標本を別に示す。

最も考えられるのはどれか。

糖尿病腎症
悪性腎硬化症
顕微鏡的多発血管炎
感染後急性糸球体腎炎
コレステロール塞栓症

解答: c

114D53の解説

中高年男性のしびれと体重減少。発熱はないが、血管炎は鑑別に上げるべきだ。画像にて半月体形成がみられていることから、急速進行性糸球体腎炎〈RPGN〉の原因となる疾患を考えたい。
a 血糖値、HbA1cともに糖尿病の診断基準を満たさない。
b 拡張期血圧が130mmHgを超えた場合に考える。
c 正しい。血管炎の1つであり、RPGNを呈していることも矛盾しない。
d 前駆する感染の記載がない。また、補体が低下するはず。
e カテーテル検査などの経緯がない。また、補体が低下し、好酸球が増加するはず。

正答率:84%

テーマ:顕微鏡的多発血管炎〈MPA〉の診断

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