114D47

72歳の女性。幻視を主訴に長女に伴われて受診した。1週前に「家に来ていた孫が急にいなくなった」と長女に電話した。長女によれば孫が来ているはずはないが「朝起きて居間に行くと、孫が黙って座っている姿が見えた。一生懸命勉強をしているようなので声をかけずにそっとしておいた。孫が家の中を歩いているのを見たが、こちらから呼ぶといなくなっていた」と述べた。数年前から長女の家に泊まった際に、夜中に寝言を言ったり笑ったりするのに気付かれていた。本人は「夢を見ていた」と述べることが多かった。半年ほど前から動作の緩慢が目立つようになっていたという。問診時の感情表出は自然であり礼節は保たれ、時間や場所の見当識に問題はなかった。血液検査と脳波検査とに異常を認めない。頭部MRIでは軽度の脳萎縮を認める以外に異常所見は認めない。

考えられるのはどれか。

妄想性障害
血管性認知症
前頭側頭型認知症
Lewy小体型認知症
Alzheimer型認知症

解答: d

114D47の解説

高齢女性の幻視。夜間の異常はREM睡眠行動障害を疑わせる。Parkinsonism(動作の緩慢)がみられていることと合わせ、Lewy小体型認知症〈DLB〉が考えやすい。
a 単一事象についての妄想をもつ。妄想以外の症候(幻視など)が現れることはない。
b 運動麻痺など、脳血管障害に起因するさまざまな症候がみられる。
c 常同行動や脱抑制など、前頭葉・側頭葉障害による症候がみられる。
d 正しい。上記の通り。
e 認知症症状が前面に出る。本患者では礼節が保たれ、見当識に問題がないため否定的。

正答率:98%

テーマ:Lewy小体型認知症〈DLB〉の診断

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