114D46

89歳の女性。腹痛と発熱のため救急車で搬入された。5日前から上腹部の鈍痛と食欲不振を自覚し、今朝から発熱が出現したため、家族が救急車を要請した。意識レベルはJCS I-2。体温38.8℃。心拍数108/分、整。血圧94/60mmHg。呼吸数24/分。SpO2 96%(鼻カニューラ3L/分酸素投与下)。眼球結膜に軽度の黄染を認める。腹部は平坦で、右季肋部に軽度の圧痛を認める。血液所見:赤血球353万、Hb 10.4g/dL、Ht 31%、白血球13,600、血小板20万。血液生化学所見:総蛋白6.6g/dL、アルブミン3.5g/dL、総ビリルビン4.1mg/dL、直接ビリルビン3.2mg/dL、AST 889U/L、ALT 459U/L、ALP 1,299U/L(基準115〜359)、γ-GT 188U/L(基準8〜50)、尿素窒素28mg/dL、クレアチニン1.0mg/dL、血糖122mg/dL。CRP 7.1mg/dL。腹部造影CT(A、B)を別に示す。

最も考えられるのはどれか。

急性肝炎
胆石胆嚢炎
汎発性腹膜炎
Mirizzi症候群
急性閉塞性化膿性胆管炎

解答: e

114D46の解説

高齢女性の腹痛と発熱。発熱、黄疸、右季肋部痛、血圧低下、意識障害、とReynolds五徴を認めている。急性閉塞性化膿性胆管炎〈AOSC〉と考えられる。画像ではAにて結石を疑わせる総胆管内の占拠性病変と胆嚢腫大を、Bにて同じく結石と思しき陰影と胆嚢腫大に加え、肝内胆管の拡張を指摘できる。総胆管結石によるAOSCの診断。
a 確かにAST, ALTは上昇しているが、それよりもALPやγ-GT上昇の方が強く、肝炎よりも胆管炎を考えるべきだ。
b 画像上、胆嚢内に結石は同定できない。
c 右季肋部に軽度の圧痛を認めているにすぎず、汎発性腹膜炎は否定的。
d 胆嚢管結石によって総胆管閉塞をみる病態。本症例では胆嚢管合流部位以下の総胆管結石がみられており、異なる。
e 正しい。上記の通り。

正答率:79%

テーマ:急性閉塞性化膿性胆管炎〈AOSC〉の診断

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