114D42

78歳の女性。右膝の痛みと腫れを主訴に来院した。2日前から誘因なく同部に痛みと腫れがあるため受診した。体温37.6℃。脈拍88/分、整。血圧130/70mmHg。呼吸数14/分。右膝に膝蓋跳動があり、自発痛、発赤および熱感を認める。右膝関節単純エックス線写真で異常を認めない。尿所見:蛋白(−)、糖(−)、潜血(−)、細菌(−)、沈渣に白血球を認めない。血液所見:赤血球456万、Hb 12.6g/dL、Ht 41%、白血球12,300(分葉核好中球76%、好酸球2%、好塩基球1%、単球8%、リンパ球13%)、血小板16万。血液生化学所見:総蛋白6.8g/dL、アルブミン3.2g/dL、総ビリルビン1.0mg/dL、AST 20U/L、ALT 15U/L、LD 220U/L(基準120〜245)、ALP 290U/L(基準115〜359)、尿素窒素20mg/dL、クレアチニン0.9mg/dL、尿酸4.7mg/dL、血糖112mg/dL。CRP 8.6mg/dL。

次に行うべき対応はどれか。

関節液検査
膝関節造影CT
下肢ギプス包帯固定
広域抗菌薬の点滴静注
副腎皮質ステロイドの関節内投与

解答: a

114D42の解説

高齢女性の右膝の疼痛と腫脹。膝蓋跳動があることから、関節水腫が予想される。発熱や、血液中の白血球(好中球メイン)・CRP上昇からは細菌感染が疑われ、化膿性膝関節炎と考えられる。
a 正しい。関節液を採取して、性状や含まれる病原体の確認をしたい。
b 単純エックス線写真で異常を認めておらず、石灰化のようなエックス線で分かる所見には乏しそうだ。むろん造影CTの方が単純エックス線より細かな所見を拾い上げることができるが、果たして現時点で優先して行う必要があるのか(この検査を実行したから診断や治療に直結するのか)と言われると、否定的である。
c 主に骨折や脱臼に対して行われる処置である。化膿性関節炎を固定しても症状は緩和されない。
d たしかに細菌感染が濃厚であり、広域スペクトルの抗菌薬であれば症状は緩和される可能性が高い。しかし、関節液を採取してグラム染色や培養を行う前に抗菌薬を入れてしまうと、原因菌がマスクされてしまう恐れがある。ゆえに優先順位的にはまず関節液検査に軍配が上がる。
e 一般に副腎皮質ステロイド投与により、細菌感染は増悪するため不適切。

正答率:98%

テーマ:化膿性関節炎への対応

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