114D40

74歳の女性。動悸を主訴に来院した。今朝7時ころに突然、激しい動悸を自覚した。ソファーに横になり様子をみていたが、30分経っても症状が治まらず、不安感が強くなったため受診した。既往歴として高血圧症と両側頸動脈に動脈硬化性の狭窄を指摘されている。意識は清明。体温36.6℃。脈拍168/分、整。血圧132/88mmHg。呼吸数18/分。SpO2 98%(room air)。心音と呼吸音とに異常を認めない。心電図ではQRS幅の狭い波形による、規則正しい頻拍を認める。

対応として適切でないのはどれか。

Valsalva手技
ベラパミル投与
ジソピラミド投与
頸動脈洞マッサージ
アデノシン三リン酸投与

解答: d

114D40の解説

突然の動悸を主訴に来院した74歳女性。心電図ではQRS幅が狭く上室性頻拍を考える。また、規則正しい頻拍であることから心房細動は除外され、発作性上室性頻拍〈PSVT〉と考えられる。
a 息こらえにより迷走神経を刺激し、発作を停止させる。
b カルシウム拮抗薬である。房室伝導を抑制し頻拍を抑え込む。
c Ia群の抗不整脈薬である。ナトリウムチャネルを抑制することで心筋細胞の活動電位を抑え頻拍抑制に働く。
d 誤り。頸動脈洞には圧受容体が存在し、同部位をマッサージすることで圧上昇を感知し迷走神経優位となり頻脈を抑制する。しかし、頸動脈の狭窄が指摘されている患者に行うと脳梗塞を誘発する可能性があるため禁忌となる。
e アデノシン三リン酸〈ATP〉は房室結節を一時的に遮断することで頻拍を停止させる。

正答率:77%

テーマ:発作性上室性頻拍〈PSVT〉への対応

フォーラムへ投稿

関連トピック

なし