114C56

32歳の男性。発熱、鼻汁および咳嗽を主訴に来院した。夏休みの家族旅行で1週間東南アジアに滞在し、2週前に帰国した。来院時の現症では結膜充血、口腔内に白色斑と全身に癒合性のある紅斑を認めた。

誤っているのはどれか。

保健所へ届け出る。
ウイルス遺伝子検査を行う。
陰圧個室管理体制で診療する。
患者の受診前の行動を確認する。
感染予防にサージカルマスク着用が有用である。

解答: e

114C56の解説

2〜3週程度の潜伏期から、発熱や鼻汁・咳嗽、結膜充血、口腔内白色斑(Koplik斑が疑われる)、癒合性のある紅斑を認めている。麻疹が考えやすい。麻疹は日本国内で感染することもあれば、当然ながら海外で感染することもある(「東南アジアに滞在」というエピソードから日本に原則存在しない輸入感染症を考えてしまった受験生もいたようだが、そうとは限らない)。
a 麻疹は5類感染症の中でも例外的に直ちに保健所への届け出が定められている感染症である。
b 麻疹ウイルスは遺伝子検査が可能である。
c 麻疹は空気感染する病原体であるため、陰圧個室管理を行う。
d 麻疹は空気感染するため、他に接触者がいないかを確認する。
e 誤り。感染予防にはN95マスクが有効。サージカルマスクは患者本人に着用させる。日本語の解釈で誤解してしまった受験生も散見される選択肢であるが、「感染予防」と書いてある以上、すでに感染していると考えられる患者に着用させるマスクを問うているわけではないことに注意。あくまで医療者や家族が予防のために着用するマスクはなにか、が聞かれているのである。

正答率:68%

テーマ:麻疹患者への対応

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