114C55

78歳の男性。排尿障害を主訴に来院した。2年前から尿勢の減弱を自覚していたという。3か月前からは頻尿および残尿感が出現し、昨日から症状が強くなり受診した。内服薬はない。意識は清明。身長165cm、体重63kg。体温36.2℃。脈拍80/分、整。血圧148/86mmHg。呼吸数16/分。下腹部に膨隆を認める。尿所見:蛋白(−)、糖(−)、ケトン体(−)、潜血1+、沈渣に赤血球5〜9/HPF、白血球5〜9/HPF。血液所見:赤血球476万、Hb 13.8g/dL、Ht 39%、白血球5,200、血小板24万。血液生化学所見:尿素窒素28mg/dL、クレアチニン4.4mg/dL、Na 137mEq/L、K 5.0mEq/L、Cl 114mEq/L。腹部超音波像(A〜C)を別に示す。

まず行うべきなのはどれか。

血液透析
腎瘻造設術
利尿薬投与
尿管ステント留置
尿道カテーテル留置

解答: e

114C55の解説

高齢男性の排尿障害。画像Cにて膀胱内の尿充満を、画像A, Bにてさらにその上流の尿うっ滞による両側性水腎症が指摘可能。クレアチニンの上昇がみられており、腎後性腎不全と考えられる。2年前から尿勢の減弱を自覚しており、前立腺肥大症〈BPH〉の背景が考えやすい。いずれにせよ、早急に尿閉の解除を行いたい状況だ。
a 緊急血液透析を考慮するほど血液所見(カリウムや尿素窒素、クレアチニン)は悪くない。まずは導尿であろう。
b 閉塞部位と考えられるのは尿道であり、腎瘻造設は不適切。
c 尿産生が低下しているわけではない。むしろ尿路の閉塞がある現時点で利尿薬を使うのは病態を増長する。
d 閉塞部位と考えられるのは尿道であり、尿管ステント留置は不適切。
e 正しい。閉塞部位と考えられるのは尿道であり、この部分にカテーテルを通し、導尿することが第一優先となる。

正答率:97%

テーマ:尿閉による両側水腎症にまず行うべきこと

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