114B47

次の文を読み、以下の問いに答えよ。

22歳の男性。全身の脱力のため救急車で搬入された。

現病歴:3か月前から運動時の動悸を自覚していた。1か月前にテニスをしたところ、翌日起床時にベッドから起き上がりづらく、4時間ほど休んでいたら元に戻った。昨日は特別な運動をしなかったが、焼き肉店で遅くまで友人と大量に飲食したのち、30分程度歩いて帰ったという。本日起床時ベッドから立ち上がろうとして力が入らず、次第に上肢にも力が入らなくなってきたため救急車を要請した。

既往歴:特記すべきことはない。

生活歴:大学生で実家暮らし。喫煙歴はない。飲酒は機会飲酒。

家族歴:特記すべきことはない。

現 症:意識は清明。身長172cm、体重55kg。体温37.8℃。脈拍104/分、整。血圧96/44mmHg。呼吸数22/分。皮膚は著明に湿潤している。瞳孔と眼球運動とに異常を認めない。構音に異常はない。徒手筋力テストで近位筋優位の筋力低下を認める。四肢腱反射は低下しているが、左右差は認めない。筋萎縮は認めない。感覚系に異常は認めない。

検査所見:尿所見:蛋白(−)、糖(−)、潜血(−)。血液所見:赤血球515万、Hb 17.3g/dL、Ht 48%、白血球5,900、血小板20万。血液生化学所見:総蛋白7.0g/dL、AST 20U/L、ALT 25U/L、CK 120U/L(基準30〜140)、尿素窒素28mg/dL、クレアチニン0.5mg/dL、血糖85mg/dL、Na 139mEq/L、K 2.4mEq/L、Cl 101mEq/L。

この病態の原因として最も考えられる臓器はどれか。

胸腺
膵臓
副腎
甲状腺
副甲状腺

解答: d

114B47の解説

運動後や大量飲食後に脱力がみられている若年男性。血液中でカリウムが低値を示していることから、周期性四肢麻痺が考えやすい。動悸の自覚や頻脈、発汗亢進、痩せ気味(BMI=18.6)であることからは背景に甲状腺機能亢進症がありそうだ。我が国では甲状腺機能亢進症に伴う低カリウム血症が周期性四肢麻痺の原因として最多である。よってこの病態の原因として最も考えられる臓器は甲状腺。

正答率:86%

テーマ:【長文1/2】周期性四肢麻痺の原因臓器

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