114B30

78歳の男性。食欲不振、体重減少と全身倦怠感を主訴に来院した。2年前に膵頭部癌で切除術を受けたが、1年前に肝と肺への多発転移を指摘された。本人および家族ともにこれ以上の抗癌治療を望まず、通院していなかったという。1か月前から食欲不振と5kgの体重減少をきたし、1週前から全身倦怠感も認めるようになったため再度受診した。疼痛や不眠を認めない。身長167cm、体重38kg。体温36.0℃。脈拍80/分、整。血圧100/68mmHg。呼吸数14/分。癌悪液質と診断した。

この時点での対応として正しいのはどれか。

NSAIDを投与する。
抗うつ薬を投与する。
抗癌治療を実施する。
直ちに高カロリー輸液を行う。
在宅ケアに関する患者の意向を聞く。

解答: e

114B30の解説

高齢男性の食欲不振、体重減少、全身倦怠感。悪液質〈カヘキシア〉の3大症候である。膵癌由来と思しき多発転移があるため、これに起因するものであろう。
a 「疼痛を認めない」との記載があるため、消炎鎮痛薬であるNSAIDは不要。
b 抑うつを疑わせる記載がなく、抗うつ薬は不要。
c 本人および家族ともにこれ以上の積極的治療を望んでいない。
d 体重減少に対して高カロリー輸液は有効であるが、本人や家族の意向を聴取することなく「直ちに」投与するのは乱暴であろう。
e 正しい。必修らしい模範正答肢。

正答率:98%

テーマ:癌悪液質患者への対応

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