114A63

90歳の男性。散歩の途中で段差につまずいて転倒し歩行不能となり、救急車で搬入された。転倒前の歩行能力は自立し、歩行補助具は不要であった。意識は清明。体温36.9℃。心拍数92/分、整。血圧120/70mmHg。呼吸数16/分。SpO2 98%(room air)。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。頭部や四肢に創傷はない。右股関節に疼痛があり、右下肢を動かすことができない。麻痺はない。両側股関節正面エックス線写真を別に示す。

この段階で最も適切な対応はどれか。

介護施設への転送
可及的早期の手術
車椅子での生活自立訓練
約1か月の局所牽引療法
ギプス包帯による右股関節固定

解答: b

114A63の解説

高齢男性が段差でつまづき転倒し、歩行不能となった。画像では右大腿骨頸部に骨折線を認める。高齢者の転倒でありがちな、大腿骨頸部骨折の診断。
a 骨折直後の急性期であり、治療もせずに介護施設へ転送することはない。
b 正しい。すみやかに外科手術を行う。
c 現時点で骨折が存在する以上、それを放置して車椅子での生活自立訓練を行うことはない。
d 骨折の整復・固定や脱臼の整復に行われることがある。しかし、大腿骨頸部骨折は骨癒合が遷延し、偽関節を形成しやすいことが有名であるため、一般に適応とはならない。また、高齢者を1か月も長期臥床させてしまっては廃用症候群をきたしかねない。
e 骨折に対して行われる。しかし、大腿骨頸部骨折は骨癒合が遷延し、偽関節を形成しやすいことが有名であるため、一般に適応とはならない。

正答率:95%

テーマ:大腿骨頸部骨折患者への対応

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