114A60

60歳の女性。左腋窩リンパ節腫大を主訴に来院した。1か月前に初めて左腋窩にしこりを自覚した。その後、痛みはないものの次第に増大するため受診した。既往歴に特記すべきことはない。意識は清明。身長158cm、体重50kg。体温37.8℃。脈拍84/分、整。血圧112/78mmHg。左腋窩弾性硬の圧痛を伴わない径3cmのリンパ節を認める。右頸部と右鼠径部にもそれぞれ径1cmと径3cmのリンパ節を触知する。血液所見:赤血球424万、Hb 13.7g/dL、Ht 44%、白血球4,600、血小板18万。血液生化学所見:総蛋白7.7g/dL、アルブミン5.1g/dL、総ビリルビン0.7mg/dL、AST 33U/L、ALT 27U/L、LD 410U/L(基準120〜245)、ALP 320U/L(基準115〜359)、尿素窒素12mg/dL、クレアチニン1.0mg/dL、尿酸4.5mg/dL。左腋窩リンパ節生検病理組織診断はCD20陽性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫であった。FDG-PETの全身像を別に示す。

適切な治療はどれか。

局所放射線照射
全身放射線照射
殺細胞性薬の単独投与
自家末梢血幹細胞移植
分子標的薬と殺細胞性薬の投与

解答: e

114A60の解説

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の診断はついている。FDG-PETでは横隔膜をまたいで2か所以上のリンパ節に集積を認めているため、ステージIII以上である。
a 悪性リンパ腫の治療に放射線を用いることがないとは言えないも、少なくとも第一選択とはならない。
b 悪性リンパ腫の治療に放射線を用いることがないとは言えないも、少なくとも第一選択とはならない。
c 殺細胞性薬とは抗癌剤のこと。B細胞リンパ腫にはR-CHOP療法(多剤併用の化学療法)が有効であるため、単独投与は不適切。
d 悪性リンパ腫の治療に幹細胞移植を行うことはあるも、再発時など適応局面が限定されている。少なくとも第一選択とはならない。
e 正しい。分子標的薬であるリツキシマブ(R)に殺細胞性薬であるシクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾロン(CHOP)を併用して治療にあたる(R-CHOP療法)。

正答率:94%

テーマ:びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の治療

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