114A59

79歳の男性。右鼠径部から陰嚢にかけての膨隆を主訴に来院した。2年前から右鼠径部の膨隆を自覚していた。昨夜から還納できなくなり今朝から疼痛を伴うため受診した。意識は清明。身長165cm、体重50kg。体温35.9℃。脈拍64/分、整。血圧140/66mmHg。呼吸数16/分。腹部は平坦、軟で、右鼠径部から陰嚢にかけて膨隆を認める。皮膚表面に変化を認めない。徒手的還納はできなかった。血液所見:赤血球459万、Hb 15.1g/dL、Ht 44%、白血球8,400、血小板25万。血液生化学所見:総蛋白7.7g/dL、アルブミン4.3g/dL、総ビリルビン0.9mg/dL、AST 26U/L、ALT 21U/L、LD 347U/L(基準120〜245)、CK 148U/L(基準30〜140)、尿素窒素18mg/dL、クレアチニン0.9mg/dL、血糖112mg/dL、Na 142mEq/L、K 4.2mEq/L、Cl 96mEq/L。CRP 0.9mg/dL。骨盤部CTを別に示す。

適切な対応はどれか。

緊急手術
高圧浣腸
イレウス管留置
穿刺ドレナージ
内視鏡的整復術

解答: a

114A59の解説

高齢男性の鼠径部膨隆。画像では腸管と思しき構造が右鼠径部にみられており、鼠径ヘルニアと考えられる。昨夜から還納できなくなり、今朝から疼痛を伴うようになったことから、鼠径ヘルニアの嵌頓が疑われる。早急に対処すべきだ。
a 正しい。緊急手術の適応となる。
b 腸重積の治療。
c 腸閉塞の治療。本症例では嵌頓が疑われるため、緊急手術の適応となり、イレウス管留置で経過をみることはしない。
d 腸管を穿刺すると内容物が漏出して腹膜炎を呈するため禁忌。★禁忌★
e S状結腸捻転症の治療。

正答率:93%

テーマ:鼠径ヘルニア嵌頓への対応

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