114A48

70歳の男性。嚥下困難を主訴に来院した。2か月前から食物の飲み込みにくさを自覚するようになった。徐々に食事摂取が困難となり、体重は1か月で4kg減少した。身長170cm、体重59kg。体温36.5℃。脈拍76/分、整。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。血液所見:赤血球334万、Hb 10.8g/dL、Ht 31%、白血球7,200、血小板18万。血液生化学所見:総蛋白6.3g/dL、アルブミン3.3g/dL、AST 36U/L、ALT 40U/L、尿素窒素19mg/dL、クレアチニン0.8mg/dL、CEA 14ng/mL(基準5以下)、SCC 7.8ng/mL(基準1.5以下)。上部消化管内視鏡像(A)、生検組織のH-E染色標本(B)及び腹部造影CT(C)を別に示す。

対応として適切なのはどれか。

肝切除術
試験開腹術
食道切除術
薬物による抗癌治療
内視鏡的粘膜下層剥離術

解答: d

114A48の解説

高齢男性の嚥下困難。体重減少や貧血もみられている。CEAとSCCの上昇からは悪性腫瘍が疑われる。Aでは2/3周性の食道癌を同定可能。不整であり、進行癌と考えられる。Bでは異型細胞の増殖を、Cでは多発肝転移が指摘できる。
a 肝転移巣は多発しており、切除は現実的でない。
b すでに診断はついており、試験開腹の意味はない。
c 遠隔転移があるため、外科的切除は現実的でない。
d 正しい。遠隔転移がある進行癌であり、抗癌化学療法の適応となる。
e 一定の要件を満たした早期癌に有効。

正答率:98%

テーマ:進行食道癌(肝転移あり)の治療

フォーラムへ投稿

関連トピック