114A32

26歳の女性。NSAIDの追加処方を希望して来院した。15歳ころから月経時に下腹痛があり市販の鎮痛薬を常用していた。6か月前から月経痛が強くなり受診した。精査の結果、子宮と卵巣に異常がなく機能性月経困難症と診断され、NSAIDを処方された。その後も疼痛が続いたため、NSAIDを倍量にして連日服用していたという。本日、NSAIDのさらなる増量を希望して来院した。

追加処方にあたり注意すべき事項として誤っているのはどれか。

浮腫
鼻出血
血圧上昇
乳汁漏出
上腹部痛

解答: d

114A32の解説

月経困難症のためNSAIDの処方を希望して来院した26歳女性。NSAIDの副作用を問うている。NSAIDはアラキドン酸カスケード内のCOXを阻害することで、それ以降に産生されるプロスタグランディンやトロンボキサンA2の産生を抑制する。
a プロスタグランディンE2には利尿作用がある。これが阻害されるので利尿作用が低下し、浮腫を生じる。
b トロンボキサンE2の作用に血小板凝集作用がある。これが阻害されるので出血傾向となり鼻出血を生じる。
c プロスタグランディンE2とプロスタグランディンI2には血管拡張作用がある。これが阻害されるので血管が収縮し血圧が上昇する。また、利尿作用の低下によっても循環血液量が増加し血圧上昇につながる。
d 誤り。乳汁漏出はプロラクチンの作用である。
e プロスタグランディンE2とプロスタグランディンI2には胃粘液を増加させ胃を保護する役割がある。これを阻害するので消化性潰瘍を生じ上腹部痛の原因となる。

正答率:89%

テーマ:非ステロイド性抗炎症薬〈NSAID〉増量にあたり注意すべき事項

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