114A18

77歳の男性。両下肢足底の紫色変化を伴う疼痛を主訴に来院した。3週前に急性冠症候群のため緊急入院し、同日に経皮的冠動脈形成術を受けていた。1週前から疼痛を伴う皮膚変化が出現したため受診した。3週前の血清クレアチニン値は1.2mg/dLであった。喫煙歴は30本/日を50年間。身長153cm、体重52kg。脈拍80/分、整。血圧152/80mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。下肢に浮腫を認めない。両足底に疼痛を伴う暗紫色皮斑を認める。尿所見:蛋白1+、糖(−)、潜血(−)。血液所見:赤血球350万、Hb 10.3g/dL、Ht 31%、白血球7,600(桿状核好中球5%、分葉核好中球60%、好酸球15%、単球5%、リンパ球15%)、血小板15万。血液生化学所見:総蛋白7.1g/dL、アルブミン3.4g/dL、尿素窒素38mg/dL、クレアチニン2.8mg/dL、総コレステロール290mg/dL、トリグリセリド240mg/dL。免疫血清学所見:CRP 1.8mg/dL、MPO-ANCA陰性、PR3-ANCA陰性。足底の写真を別に示す。

最も考えられるのはどれか。

悪性腎硬化症
紫斑病性腎炎
腎静脈血栓症
ANCA関連血管炎
コレステロール塞栓症

解答: e

114A18の解説

高齢男性の両足底の紫色変化を伴う疼痛。3週前の心カテーテル処置を契機にコレステロール塞栓症を呈したものと考えられる。足底ではblue toeと網状皮斑がみられている。腎障害(クレアチニン値の上昇)や好酸球上昇も矛盾しない。喫煙歴があることや、脂質異常症がみられており、これらは動脈硬化(ひいてはコレステロール塞栓症)のリスクとなる。画像では足底にblue toeと網状皮斑がみられている。
a 拡張期血圧が80mmHgと正常であり、否定的。
b 尿所見で潜血反応が出ておらず、否定的。
c 直接的に否定する根拠は見いだせないが、腎静脈血栓症単独で皮膚の色調変化はみない点、腎静脈血栓症はネフローゼ症候群を背景に出現することが多い点、明らかにコレステロール塞栓症が考えやすい点、などから正解肢として選択することはない。
d MPO-ANCAやPR3-ANCAが陰性であり、否定的。
e 正しい。上記の通り。

正答率:98%

テーマ:コレステロール塞栓症の診断

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