114A17

2か月の乳児。新生児聴覚スクリーニングで精密検査が必要となり、両親とともに来院した。家族の呼びかけや周囲の音への反応はほとんどない。身長・体重は月齢相当である。外耳道と鼓膜とに異常を認めない。側頭骨CTでは中耳・内耳に異常を認めない。聴性脳幹反応〈ABR〉は両耳とも無反応である。耳音響放射〈OAE〉では、両耳で低中音部に残存聴力が確認された。

医師から両親への説明として適切なのはどれか。

「機能性難聴です」
「補聴器装用を開始しましょう」
「副腎皮質ステロイドで治療します」
「人工内耳埋込み術をすぐに予定します」
「1歳6か月児健康診査まで様子をみてください」

解答: b

114A17の解説

新生児聴覚スクリーニングで再検査となり来院した2か月の乳児。聴性脳幹反応〈ABR〉は両耳とも無反応であり、両側性の高度難聴と考えられる。乳幼児の聴覚障害はその後の言語発達に影響を及ぼすため早急な対応が必要である。
a 機能性難聴ではABRは正常となる。
b 正しい。一般的に補聴器装用は伝音難聴に有効とされ、感音難聴には適応とならない。しかし、本症例では残存聴力が確認されており人工内耳植込み術施行までのつなぎとして用いる。そうすることで、少しでも患児に聴覚刺激を与えるように努める。
c 後天性急性感音難聴の治療薬である。
d 人工内耳植込みは術は1歳以降に行われる。
e 1歳6か月まで様子をみては言語発達に影響を及ぼしてしまうため早急に対応する。

正答率:41%

テーマ:両側性高度感音難聴の乳児の両親への説明

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