114A16

19歳の男性。左手掌のしびれ感を主訴に来院した。1年前から大学のサークルでギターの練習を毎日6時間行っていた。1か月前から左手掌にびりびりするしびれ感を自覚するようになった。しびれ感は起床時やギターの練習中に出現するという。身長172cm、体重62kg。脈拍64/分、整。血圧116/62mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。腱反射は正常で、筋萎縮は認めない。他覚的感覚障害も明らかではないが、ある肢位を1分間継続すると左母指から中指の手掌側にしびれ感が誘発された。その肢位を別に示す。

考えられるのはどれか。

手根管症候群
肘部管症候群
胸郭出口症候群
頸椎症性神経根症
前骨間神経症候群

解答: a

114A16の解説

若年男性の左手掌のしびれ感。ギターの練習を毎日6時間も行っていた、とのことで手の酷使があったのであろう。本文でぼかして書かれている「ある肢位」とは写真から分かるように、Phalenテストの肢位のこと。1分間の継続で左母指〜中指の手掌側(正中神経の支配領域)のしびれ感が誘発されており、手根管症候群と考えられる。
a 正しい。上記の通り。
b 肘部管には尺骨神経が走行する。尺骨神経の支配領域は手の小指側である。
c なで肩や猫背、頸肋、若い女性に多い。腕神経叢が障害されるも、正中神経の支配領域に限定的な症状をみるものではない。
d 神経根が障害され、手掌のしびれ感がみられることはある。しかし、同時に運動神経も障害されるため、腱反射異常や筋萎縮をみる可能性が高い。
e 前骨間神経は肘のあたりで正中神経から分岐し、母指と示指の第一関節を屈曲させる。そのため、障害により手指の運動障害はみられるも、感覚障害(本問で示されている「しびれ感」)はみられない。

正答率:98%

テーマ:手根管症候群の診断

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