113E48

次の文を読み、48、49の問いに答えよ。

23歳の男性。陰茎の潰瘍を主訴に来院した。

現病歴:1週間前に陰茎に潰瘍が出現し、次第に拡大するため受診した。潰瘍部に疼痛はない。頻尿や排尿時痛もない。

既往歴:14歳時に肺炎球菌性肺炎。アンピシリン/スルバクタム投与後に血圧低下と全身の皮疹を認めた。

生活歴:喫煙は20本/日を3年間。飲酒は機会飲酒。不特定多数の相手と性交渉がある。

現 症:意識は清明。身長170cm。体重74kg。体温36.3℃。脈拍80/分、整。血圧128/68mmHg。呼吸数12/分。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。神経診察に異常を認めない。下腿に浮腫を認めない。陰茎に潰瘍を認める。

検査所見:赤沈32mm/1時間。血液所見:赤血球418万、Hb 13.3g/dL、Ht 42%、白血球9,900(桿状核好中球14%、分葉核好中球66%、好酸球2%、好塩基球3%、単球9%、リンパ球6%)、血小板20万。血液生化学所見:総蛋白7.6g/dL、アルブミン4.2g/dL、尿素窒素20mg/dL、クレアチニン1.0mg/dL、Na 137mEq/L、K 4.2mEq/L、Cl 105mEq/L。免疫血清学所見:CRP 3.2mg/dL、抗HIV抗体スクリーニング検査陰性、尿中クラミジア抗原陰性、RPR 32倍(基準1倍未満)、TPHA 80倍未満(基準80倍未満)。

潰瘍部の写真を別に示す。

適切な抗菌薬はどれか。

セフェム系
キノロン系
ペニシリン系
カルバペネム系
テトラサイクリン系

解答: e

113E48の解説

若年男性の陰茎潰瘍。画像から硬性下疳がみてとれる。不特定多数の相手と性交渉があるとのことで性感染症を疑おう。RPR 32倍(基準1倍未満)と上昇しており、梅毒が考えやすい。TPHAが高値となるにはやや時間がかかるため、この患者では基準値内にあるものと思われる。
a・b・d 梅毒治療に一般的に用いられる抗菌薬ではない。
c アンピシリン投与後にアナフィラキシー症状を認めた既往があり、禁忌。
e 正しい。梅毒へのfirst choiceは本来ペニシリン系だが、cに示した事情より使えない。よって、second choiceであるテトラサイクリン系を用いる。

正答率:35%

テーマ:【長文1/2】梅毒の第2選択となる抗菌薬

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