113D65

52歳の男性。眼瞼と頸部の腫脹を主訴に来院した。1年前から両側眼瞼の腫脹に気付いていた。半年前から両側の顎下部の腫脹も自覚していた。最近、眼瞼の腫脹が増大傾向であり、また鼻閉も伴ったため受診した。体温36.5℃。脈拍64/分、整。血圧110/76mmHg。両側眼瞼および顎下部の腫脹を認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。圧痛を認めない。血液所見:赤血球423万、Hb 12.9g/dL、Ht 37%、白血球6,400、血小板21万。血液生化学所見:尿素窒素13mg/dL、クレアチニン0.5mg/dL、総蛋白8.5g/dL、アルブミン3.9g/dL、IgG 3,305mg/dL(基準960~1,960)、IgA 159mg/dL(基準110~410)、IgM 67mg/dL(基準65~350)、IgE 350IU/mL(基準250以下)、総ビリルビン0.9mg/dL、AST 22U/L、ALT 16U/L、γ-GTP 34U/L(基準8~50)、アミラーゼ122U/L(基準37~160)。免疫血清学所見:抗核抗体陰性、リウマトイド因子〈RF〉陰性。眼窩部単純CT(A)及び腹部造影CT(B、C)を別に示す。

診断に有用な検査はどれか。2つ選べ

肝生検
涙腺生検
血清IgG4測定
経静脈性胆道造影
血清MPO-ANCA測定

解答: b,c

113D65の解説

中年男性の眼瞼と頸部の腫脹。同様の表現がその後数回繰り返されているが、要は涙腺と唾液腺の腫脹を考えたい。画像でもAにて両側涙腺の腫大が、BとCにて膵腫大がみられる。IgG4が上昇していることと合わせ、IgG4関連疾患〈IgG4RD〉が考えられる。IgG4RDには自己免疫性膵炎を合併しやすいことを確認しておこう。
a 血液所見や画像所見から肝の異常は考えにくい。
b 正しい。涙腺生検により病理組織学的にリンパ球や形質細胞浸潤、線維化、IgG4陽性形質細胞の増加等を示すことがが診断基準に明記されている。
c 正しい。血清lgG4測定が135mg/dL以上であることが診断基準に明記されている。
d aと同様に胆道の異常も考えにくい。
e 血清MPO-ANCAが高値を示す疾患ではない。

正答率:82%

テーマ:IgG4関連疾患(Mikulicz病)の診断に有用な検査

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