113D46

63歳の男性。下腿の浮腫を主訴に来院した。12年前に糖尿病と診断され、自宅近くの診療所で経口糖尿病薬を処方されている。2年前から尿蛋白を指摘されている。1か月前から夕方になると顔面および両下腿に浮腫が出現するのが気になり受診した。身長170cm、体重78kg。脈拍68/分、整。血圧168/92mmHg。顔面と両側脛骨前面に軽度の圧痕性浮腫を認める。尿所見:蛋白3+、糖(-)、潜血(-)。血液所見:赤血球425万、Hb 13.0g/dL、Ht 39%、白血球6,700、血小板24万。血液生化学所見:アルブミン3.8g/dL、尿素窒素28mg/dL、クレアチニン1.6mg/dL、eGFR 40mL/分/1.73m2。血糖114mg/dL、HbA1c 6.8%(基準4.6~6.2)。24時間蓄尿検査:尿量1,600mL/日、蛋白2.4g/日、クレアチニン1.24g/日、Na 5.6g/日、Cl 8.9g/日。

この患者で正しいのはどれか。

食塩摂取量は適正である。
G5期の慢性腎臓病である。
ネフローゼ症候群を呈している。
副腎皮質ステロイドが有効である。
今後の進行性腎機能低下が予想される。

解答: e

113D46の解説

下腿の浮腫を主訴に来院した63歳男性。糖尿病とすでに診断されており、HbA1c 6.8%とコントロールも不良。クレアチニン1.6mg/dL、eGFR 40(CKDのG3b)と腎機能低下がみられ、糖尿病性腎症の診断となる。
a 本問の最大の難所。Na 5.6g/日は6g以下であるから一見適正にみえる。が、この6gはNa量ではなく、NaClの量だ。Naの分子量が23、Clの分子量が35.5であるため、Na 5.6g/日は(23+35.5)/23倍し、約14gのNaClを1日あたり摂取していることと見積もられる。これは多い。
b 前述のように、G3b期。
c 蛋白3+だが、アルブミン3.8g/dLと3を切っていない。ゆえにネフローゼ症候群の診断基準はみたさない。
d 糖尿病患者に副腎皮質ステロイドを用いると、血糖上昇する危険性がある。ゆえに使用不可。
e 正しい。ここまでa〜dで様々な議論をしてきたが、それがバカバカしく思えてしまうくらいシンプルで当たり前な選択肢。深く考えずこれを選ぼう。

正答率:83%

テーマ:糖尿病性腎症について

フォーラムへ投稿

関連トピック