113D31

50歳の女性。発熱と呼吸困難を主訴に受診した。半年前に血痰を認め、胸部エックス線で左下肺野に空洞を形成する肺アスペルギルス症と診断された。抗真菌薬で加療されていたが、血痰が軽快しないために、2週間前に左肺下葉切除術が施行され、1週間前に退院した。昨日から発熱、呼吸困難を自覚したため、救急外来を受診した。20歳時に肺結核の治療歴がある。体温38.7℃。脈拍120/分、整。血圧102/60mmHg。呼吸数24/分。SpO2 94%(room air)。胸部エックス線写真(半年前:A、今回:B)を別に示す。

行うべき処置はどれか。

心嚢穿刺
陽圧呼吸管理
胸腔鏡下手術
胸腔ドレナージ
副腎皮質ステロイド投与

解答: d

113D31の解説

発熱と呼吸困難を主訴に受診した50歳の女性。胸部エックス線写真では、半年前と比べて心陰影が右に偏位し、左肺には液面形成が見られる。肺切除術後に症状が出現していることと合わせ、急性膿胸を疑う。
a 液体が貯留しているのは胸腔であり、心嚢水ではない。
b 陽圧呼吸は心不全など肺の虚脱を伴う場合に行う。現時点では必要ない。
c まずは胸腔ドレナージで性状を確認したい。いきなり胸腔鏡下手術は早計である。
d 正しい。胸腔ドレナージを行うことで、肺を圧排している大量の液体を除去し呼吸状態を改善させる。また、ドレナージした検体を調べることで、原因を探ることができる。
e 副腎皮質ステロイド投与は喘息治療の時に使用する。本症例の呼吸困難の原因は液体貯留であるためステロイド投与は効果がない。

正答率:93%

テーマ:急性膿胸に行うべき処置

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