113D26

13歳の女子。徐々に悪化する左前腕痛と左手指のしびれを主訴に来院した。2日前に高さ1.5mの飛び箱から落下した際に、床に左手をついて受傷し、同日、救急車で搬入された。左前腕骨開放骨折と診断され、緊急で骨折に対する観血的整復内固定術を受けた。手術翌日に退院したが、深夜になり前腕の疼痛が悪化し、手指のしびれが出現したため、午後11時に救急外来を受診した。既往歴、生活歴および家族歴に特記すべきことはない。救急外来受診時の患肢の外観写真(A)及びエックス線写真(B、C)を別に示す。

この患者に対する治療が翌朝以降に遅れることで生じるのはどれか。

手袋状感覚脱失
Volkmann拘縮
異所性骨化
偽関節
骨壊死

解答: b

113D26の解説

2日前に観血的前腕骨整復内固定術を受けた13歳の女子。深夜になり疼痛が悪化し、手指のしびれが出現している。画像ではAにて病変部の変色・腫脹、水疱形成、そして手指の屈曲位がみられる。B, Cでは前腕骨がプレート固定されている様子が観察可能。前腕屈筋群の区画内圧が上昇し始めていることが予想される。
a ポリニューロパチーでみられる感覚障害の所見。
b 正しい。Volkmann拘縮は前腕のコンパートメント症候群である。
c 靭帯等、本来骨のない部分への石灰化を指す。好発部位は肩関節や肘関節、骨盤、股関節、膝関節。今回の症状とは直接関係がなく、正解とはならない。
d 骨折の癒合機序の遷延により骨折部が関節様の動態を呈するものが偽関節だ。大腿骨頸部骨折、舟状骨骨折、脛骨下1/3の骨折でみられやすい。今回の症状とは直接関係がなく、正解とはならない。
e 筋の壊死はみられるも、骨壊死はみない。

正答率:78%

テーマ:前腕骨骨折で治療が遅れることで生じる病態

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