113C54

次の文を読み、54~56の問いに答えよ。

82歳の女性。転倒し救急車で搬入された。

現病歴:廊下で倒れているところを家族が発見し、救急車を要請した。半年前から階段昇降時の息切れを自覚していた。

既往歴:68歳時から高血圧症のためカルシウム拮抗薬、糖尿病のためビグアナイド薬、75歳時から深部静脈血栓症のためワルファリン、76歳時から不眠症のためベンゾジアゼピン系睡眠薬、骨粗鬆症のためビスホスホネート製剤で治療中。

生活歴:日常生活動作〈ADL〉は自立。

家族歴:特記すべきことはない。

現 症:問いかけに対し名前を言うことができる。身長152cm、体重42kg。体温36.6℃。心拍数72/分、整。仰臥位で血圧112/68mmHg。呼吸数18/分。SpO2 98%(room air)。眼瞼結膜は貧血様である。眼球結膜に黄染を認めない。前頭部に2cm大の皮下血腫を認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。神経診察を含む身体診察に異常を認めない。

転倒の原因を評価するための質問として有用性が低いのはどれか。

「転倒した時のことを覚えていますか」
「打撲して最も痛い部位はどこですか」
「転倒するときに何かにつまずきましたか」
「手足のしびれや、動かしづらさはありませんか」
「これまで痙攣発作を起こしたと言われたことがありますか」

解答: b

113C54の解説

高齢女性の転倒。きわめてよくある臨床設定であり、頭蓋内出血は? 大腿骨頸部骨折は? ......など確認すべき事項は限られている。転倒した原因について考察することもお忘れなく。
a 意識障害があったのか、それとも意識は清明なまま転倒したのか。原因病態の評価に有用な質問だ。
b 誤り。受傷部位の絞り込みに有用であり、原因評価には適さない質問。
c つまづいて転倒、は極めてよくある原因だ。
d 脳梗塞などによる神経障害が転倒の原因となることもある。
e てんかんや痙攣発作の既往がある場合、それが出現して転倒することもある。

正答率:90%

テーマ:【長文1/3】高齢者の転倒の原因を評価するための質問

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