113C46

71歳の女性。労作時呼吸困難の増悪を主訴に来院した。約10年前にCOPDと診断された。1年前からII型呼吸不全をきたしたため在宅酸素療法(1L/分)を行っている。前回外来診察時には呼吸数20/分、SpO2 94%(鼻カニューラ1L/分酸素投与下)であった。数日前より労作時呼吸困難が悪化したため、家族に付き添われて受診した。外来待合室で30分くらい前から居眠りをしていた。付き添いの家族が呼びかけに応答しないことに気付いて、看護師に声をかけた。脈拍104/分、整。血圧144/92mmHg。呼吸数8/分。SpO2 91%。吸入酸素量を確認したところ、5L/分であった。家族によると、タクシーを降りてから待合室まで歩行したところ、呼吸が苦しくなったので本人が酸素量を増やしたとのことであった。

現時点で必要ないのはどれか。

静脈路確保
気管挿管の準備
動脈血ガス分析
心電図モニター装着
リザーバー付マスクによる酸素投与

解答: e

113C46の解説

労作時呼吸困難の増悪を主訴に来院した71歳の女性。COPDのため在宅酸素療法(1L/分)を行っている。意識レベルの低下とSpO2が低下しているにも関わらず呼吸数が低下していることからCO2ナルコーシスを考える。その後に記載されている酸素流量を増加したことが原因であろう。
a 急変しそうな患者に対してすぐに処置できるよう静脈路は必ず確保しておく。
b まずは非侵襲的人工呼吸を試みるが、それでも酸素化が保たれなければすぐに気管挿管をしなければならない。必ず準備しておくこと。
c 現在の酸素分圧、二酸化炭素分圧を把握するため動脈血ガス分析は必須である。
d 急変に備え必ず心電図モニターを装着しておく。
e 誤り。酸素流量を増加したことによってCO2ナルコーシスに至っているわけなので、リザーバー付マスクによる酸素投与は更に状態を悪化させる(禁忌)。前述の通り人工呼吸に切り替えるべきである。

正答率:92%

テーマ:CO2ナルコーシスへの対応

フォーラムへ投稿

関連トピック

なし