113C28

28歳の男性。本人から面談の申し出があり産業医を訪れた。職場でストレスチェックを行った際、高ストレス者として選定され、面談指導が勧奨されたという。3か月前に実施した定期健康診断では身長172cm、体重65kg。血圧136/88mmHg。血液検査および生化学検査に異常を認めなかった。既往歴に特記すべきことはない。4か月前に新しい部署に異動し、それまでに経験のない対外折衝業務を担当することになったが、新しい業務になじめずにいた。上司や同僚ともあまり会話がなく、業務量も増加し、残業や休日出勤も必要となっていた。ここ1か月は、休日にも仕事のことが頭から離れなくなり、夜、なかなか寝付けず、朝も起きられないため、遅刻が目立つようになってきた。来所時の体重は62kg。血圧142/92mmHg。最近は、夫婦仲も悪化し、けんかが絶えないという。本人はストレスの原因は、不本意な人事異動にあると考えており、異動を強く希望している。

産業医がまず行う対応として適切なのはどれか。

精神科受診を指示し面談を打ち切る。
ストレスについて業務上のことに限定して聞く。
管理監督者を交えた3者面談を本人に提案する。
異動できるよう、意見書を直ちに事業者に提出する。
直ちにストレスチェックの結果を人事責任者に閲覧させる。

解答: c

113C28の解説

本人から面談の申し出があり産業医を訪れた。「ここ1か月は、休日にも仕事のことが頭から離れなくなり、夜、なかなか寝付けず、朝も起きられないため、遅刻が目立つようになってきた」とのことで、好ましくない状況のようだ。夫婦仲も悪化し、異動を強く希望しているという。
a 精神科的疾患の存在を疑った場合、精神科受診を指示することはありうる。が、「面談を打ち切る」という強い語義の選択肢であり、正解肢とはならない。
b 家庭での問題もストレスの一因となる。業務上のことに限定する必要はない。
c 正しい。管理監督者を交えた3者面談を行い、解決策を練る。
d 確かに本人は異動を強く希望しているが、その希望だけで「意見書を直ちに事業者に提出する」のは早計。
e ストレスチェックの結果は個人情報であり、「直ちに」(本人の許可なく、という意が暗に読み取れる)人事責任者に閲覧させるのは好ましくない。

正答率:88%

テーマ:高ストレス者への産業医の対応

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