113B39

5歳の男児。走るのが遅いことを心配した母親に連れられて来院した。1年前から転びやすいことに母親は気づいていた。先日の運動会で他の子どもに比べて走るのが著しく遅いことが心配になり来院した。周産期、乳児期には特記すべきことはない。母方叔父が心不全により25歳で死亡。身長104cm、体重17kg。体温36.8℃。咽頭に発赤を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。腱反射に異常を認めない。下腿の肥大を認める。血液所見:赤血球468万、Hb 12.6g/dL、Ht 37%、白血球9,800、血小板21万。血液生化学所見:総蛋白6.2g/dL、アルブミン3.8g/dL、AST 436U/L、ALT 478U/L、CK 12,300IU/L(基準46~230)、尿素窒素9mg/dL、クレアチニン0.4mg/dL。

患児に認められる所見はどれか。

Albright徴候
登はん性起立
スカーフ徴候
Horner徴候
筋強直現象

解答: b

113B39の解説

走るのが遅い5歳男児。母方叔父が心不全により25歳で死亡しており、何かしらの遺伝性疾患を考える。下腿の肥大(仮性肥大が考えやすい)、CK高度上昇より筋ジストロフィーであろう。臨床像や頻度的にはDuchenne型筋ジストロフィーが最も考えやすい。
a 偽性副甲状腺機能低下症でみられる(低身長、肥満、短指症、皮膚骨腫など)。
b 正しい。Gowers徴候とも呼ばれ、Duchenne型筋ジストロフィーでみられる徴候として有名。
c floppy infant児でみられる。これは乳児期から観察される。
d 交感神経障害にてみられる。
e 筋強直性ジストロフィーでみられる。この疾患も筋ジストロフィーの1つではあるが、Duchenne型と異なり思春期〜中年に多く、かつ骨格筋外の症状も多彩にみられる。

正答率:98%

テーマ:筋ジストロフィーの所見

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