113A74

6歳の女児。腹痛と血便を主訴に来院した。昨日から腹痛を訴え、本日血便がみられたため、母親に連れられて受診した。2日前に近所の店で焼肉を食べたという。意識は清明。体重20kg。体温37.5℃。脈拍90/分、整。血圧110/60mmHg。呼吸数20/分。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦で臍周囲に軽度圧痛を認める。肝・脾を触知しない。腸雑音は亢進している。尿所見:蛋白(-)、糖(-)、ケトン体2+、潜血(-)。血液所見:赤血球420万、Hb 13.2g/dL、Ht 42%、白血球12,300(桿状核好中球30%、分葉核好中球55%、好酸球1%、好塩基球1%、単球6%、リンパ球7%)、血小板21万、PT-INR 1.2(基準0.9~1.1)、APTT 32秒(基準対照32.2)。血液生化学所見:総蛋白7.5g/dL、アルブミン3.9g/dL、総ビリルビン0.9mg/dL、AST 28U/L、ALT 16U/L、LD 300U/L(基準175~320)、CK 60U/L(基準46~230)、尿素窒素20mg/dL、クレアチニン0.6mg/dL、血糖98mg/dL、Na 131mEq/L、K 4.4mEq/L、Cl 97mEq/L。CRP 4.5mg/dL。便中ベロトキシン陽性であった。

この患者で溶血性尿毒症症候群〈HUS〉の発症に注意するために有用な血液検査項目はどれか。3つ選べ

CK
CRP
赤血球数
血小板数
クレアチニン

解答: c,d,e

113A74の解説

6歳女児の腹痛と血便。近所の店で焼肉を食べた後に症状がみられており、便中ベロトキシン陽性となっている。さらにはご丁寧に設問文に「溶血性尿毒症症候群〈HUS〉の発症に注意」とあるため、腸管出血性大腸菌感染と考えられる。溶血所見や血小板低下がまだみられていないため、HUS一歩手前、という意図の出題なのであろう。
a 筋崩壊する病態ではないため、CK測定は不要。
b 炎症によりCRPが上昇するも、非特異的な所見であり、題意を満たさない。
c 正しい。HUSでは溶血がみられるため、赤血球数が低下する。
d 正しい。HUSでは血栓形成がみられるため、その材料として消耗された血小板が低下する。
e 正しい。HUSでは腎障害がみられるため、病状進行に伴いクレアチニン値が上昇する。

正答率:87%

テーマ:溶血性尿毒症症候群〈HUS〉の血液検査

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